中台里山公園昆虫調査を終えて

2008年8月18日 15時17分 | カテゴリー: トピックス

 私は1年前に中台サンシティに越してきました。階段やわかりにくい道にも慣れ、起伏に富んだ地形と民家の木々のある風景や、高層マンション群を取り巻く森は散歩を楽しませてくれます。自然環境のよさそうな中台一帯の昆虫調査には大変興味がありました。
 昆虫調査はベイトトラップ法です。ベイトは餌、トラップは罠という意味で、通常は土を掘ってトラップを落とし穴のように埋めて、樹林地などの地面を這う虫をつかまえます。穴を掘ってトラップを埋める作業は大変なので、私達はペットボトルを加工したトラップを地面に置くだけにしました。餌は甘いにおいのするカルピスです。置いた場所の目印に木の枝などにリボンをつけておきます。
 場所は、中台里山公園とサンシティの東の樹林地の2地点で、7月21日にそれぞれ10個のトラップを設置し、27日に回収しました。どんな虫が入っているかな、とトラップのなかを見るときがわくわくする一瞬で、大きい虫が入っているとやはりうれしいものです。2地点とも2,3cmほどのコクワガタ(板橋でもよく見られる小型のクワガタムシで幼虫は朽ち木を食べる)がそれぞれ1匹入っていました。
 次に大きいのは1.5cm位のコメツキムシの仲間、その次に大きいのが1cmかそれ以下のエンマコガネ(コガネムシ)の仲間。エンマコガネの幼虫は糞を餌にします。あとはケシキスイの仲間。ケシキスイとは、ケシ粒のようなごく小さな「木吸い(樹吸い)」という意味で、見落としそうな極小の虫ですが、種類が多く、当たり前ですがそれぞれ名前があり、虫眼鏡で見ると立派な甲虫です。
 回収した虫は、いたばし水と緑の会の釣巻さんに同定(虫の種を判定)してもらい、また板橋の昆虫のデータとして保存し活用されます。
 調査地点のサンシティは1980年に出来たマンションで敷地面積97,103㎡、そのうち約45,000㎡(46.3%)が緑地です。昆虫調査をした東の樹林地はマンションができる前から樹林地だったところで板橋区の保存樹林に指定されており、面積は7,032㎡あります。
 里山公園は民有地の樹林地を買収して公園に整備したもので、面積は1,543㎡です(一部借地)。
 さて、サンシティの東にある自然樹林地と、里山公園とどちらの方に虫が多かったと思いますか。虫の名前のリストは省略しますが、種類と個体数を比べてみると、サンシティの東樹林地が7種11個体、里山公園が14種54個体で、断然多かったのは里山公園でした。どうして緑の多いサンシティで虫が少ないのか不思議でなりません。写真は里山公園の虫を回収し洗ってバットに広げたところです。多いと言ってもたったこれだけ。
 ベイトトラップ法で採集する虫は、地面にいて腐ったものや動物の死骸や糞などを食べる虫たちとその虫たちを食べる肉食の虫たちで、華やかではありませんが、自然界の本当のリサイクル屋さん達です。樹があって頭上に緑が広がっていると「自然だ」と思います。しかし樹の根元に小さな生きものたちが活躍している豊かな土があるかどうかまで考えることはほとんどありません。
 にぎやかな蝉時雨を聞くと都会の生き物達も元気にやっているように思えますが、生きられなくなって消えていった生き物も多いのです。50年ほど前には街灯に虫が集まり、下にもたくさん落ちていました。夜が明るくなったこともありますが、街灯の光に集まる虫達にも会わなくなりました。
 今回の昆虫調べは、生活クラブ・板橋センターの初めての取り組みだったこともあり、参加者は一日目(7/24)4人、二日目(7/27)5人と少人数でした。この昆虫調査は私達しろうとでも身近な緑の自然度を調べることができる方法です。調査のやり方や仲間づくりなども少し検討準備して、虫の好きな子ども達と一緒に夏休みの生き物調べを続けたいと思っています。

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指導員:坂本郁子さん(元板橋区環境保全課職員)